シュターデは、千年の歴史を誇り中世の雰囲気漂う人口約五万人の小さな美しい街だ。旧市街地には17〜18世紀のレンガ建てや木組みの家が立ち並び、狭い曲がりくねった街路は中世のロマンを感じさせる。11世紀に教会が建立され、12世紀に集落は壁と水濠で防備された。1209年に街は独立し、市としての権利を獲得。当時シュターデはハンブルクよりも大きく、重要なハンザ都市の港町として栄えていたが、やがて大きな船の入るハンブルクにその地位を奪われ、ドイツに荒廃をもたらした新教と旧教の争いである30年戦争により衰退していった。1645〜1717年には強国スウエーデンの勢力下に置かれ、欧州有数の堅固な要塞が築かれたが、1659年に大火に見舞われてほとんどの建物を消失してしまった。従って現在の街並は、中世後期17世紀のものである。やがて、そのスウエーデンも去って街の重要性は失われてしまったが、17、18世紀の美しい街並はそのまま残る事になった。シュターデの旧市街地は周りをエルベの支流シュビンゲ川がつくる水濠で囲まれていて、小さな美しい街の佇まいは訪れる人々の感動を誘う。

さて、今回はハンブルクから高速艇ハンザ・カタマランでエルベ河を渡り、シュターデの街を散策してみよう。

まずは地下鉄U-3かS-Bahnのランドウングスブルッケン駅Landungsbrueckenで降り、船着き場のElbe-city-jetの看板がでている所でチケットを購入。大人往復32マルク。今回は、行きが10時15分、帰りを17時30分と指定。(詳しい運行スケジュールは上記サイトを参照)エルベ河を下る途中にはブランケネーゼ Blankeneseの街並や、約2000艘のヨットが停泊できるヴェーデル Wedelのヨットハーバーなどを船上から見る事が出来る。片道ピッタリ50分でシュターデの港Stadersand に到着し、そこから無料の連絡バスに乗り約10分で観光のスタート地点フェルデマルクト Pferdemarkt(地図1)に到着。

シュターデの旧市街地は1〜2時間も歩けば全部回れるほど小さな街だ。まずは市庁舎 Rathaus を見学しよう。これは、1667年にフランドル様式で再建されたもので、内部の彫刻装飾はシュターデの職人ヘネによるもの(地図2)。この地下にあるラーツケラー Ratskeller では、中世の落ち着いた雰囲気で郷土料理が楽しめる。
その横には聖コスメ教会 St.Cosmae Kirche(地図3)がある。現存の中央部は13世紀に、塔は15世紀に建てられたものだ。ここには、1688年にパイプオルガン製作の名手アルプ・シュニッツガーが精魂込めた最初のパイプオルガンが鎮座している。

9000馬力の高速艇ハンザカタマラン
船上から見えるブランケネーゼの街並
旧市街地図
少し重いですが正確です。
ラーツケラーの入口
聖コスメ教会
市長ヒンツエ館
シュニッツガー製作のパイプオルガン
フィッシュマルクト界隈
ワインハウスシュトラートマンの看板

次は、フィッシュマルクト Fischmarkt (地図4)に向かって歩いてみよう。この辺は中世後期の建物が沢山あり、中でも14〜15世紀に建てられた商人の家であるヒンツエ館 Hinze Haus がとりわけ魅力的だ。これは、17世紀に所有者であった市長ヒンツエがヴェザールネッサンス様式に改装したものである。
そして、このフィッシュマルクトで小さなワイン屋さんを発見!ワインハウス・シュトラートマン Weinhaus Stratmann (Fischumarkt10、Tel.04281-93770)とある。さっそく店内を見回してみたらドイツワインがかなりの規模で揃っており、値段も手頃である。今度、車で来た時に買い込むとしよう。
ワイン屋を出て、近くのブンゲン通り Bungenstr. を歩いていると、木わくとレンガ造りの面白い建物と看板が目についた。レストラン・クネヒトハウゼン Restaurant Knechthausen とある。中を覗くと昼はお休みのようで、夜18時から営業と書いてあった。中庭がある素敵なレストランのようなので、ここは次回に訪れた時に取材報告するとしよう。それまで待てない人、詳細を知りたい人はここをクリック!
さて、レストランのメニューを見ていたら急にお腹が減ってきた。シュターデに来たらやはり小さな島にあるインゼル・レストラン Insel-Restaurant(地図5)だろう。
ここでは、店員はアルテスランドの民族衣装を着て給仕してくれる。ワインリストもかなり充実していて、グラスで注文出来る種類が多いのが嬉しい。この日はラッキーな事に、スウエーデン祭りの直後だったのでスウェーデン産の鹿肉がメニューに載っていた。勿論、鹿肉を使ったメニューを一皿注文した。薄く切った鹿肉とフェファーリング茸のクリーム煮は、大きなアイントッフで出てきてボリュームたっぷり。味も抜群だ。もう一皿はツアンダー(スズキの一種)の塩焼きにした。塩加減や焼き方など非常にあっさりしていて美味だった。ここのサラダや温野菜も日本人の舌にピッタリ。御賞味あれ!
Insel-Restaurant 住所:Auf der Insel. Tel.: 04141-2031, Fax:04141-47869

レストラン・クネヒトハウゼン
インゼル・レストラン
これで2人分の料理ですよ!ボリュウム満点!
鹿肉とフェファーリング茸のクリーム煮
ツアンダーの塩焼き
シュターデ郷土資料館

さて、満腹になったら、この近くにあるシュターデ郷土資料館 Heimatmuseum(地図6)に立ち寄ってみよう。1904年に建てられたこの資料館では、18〜19世紀当時のアルテスランドの生活様式がうかがえる。

いかがでした?
シュターデはハンブルクから僅か1時間で到着し、半日もあれば街並を充分堪能できるので、日帰りコースにはピッタリ!

アクセス:
高速艇ハンザカタマランで行く場合はElbe-city-jet参照。
電車で行く場合は、ハンブルク中央駅からクックスハーフェン Cuxhaven行きの普通電車で約1時間。値段は片道約9ユーロ。詳細はDie Bahnを参照。